[補足資料]

文部科学省 科学技術政策研究所(NISTEP)のScopus採用に関する補足情報:インタビュー抜粋
(科学技術基盤調査研究室 主任研究官 伊神正貫(いがみまさつら)氏コメント)

 

  1. Scopusを採用した理由

大きく分けて以下の3つの理由が挙げられる。:

    1. 網羅性・・・従来のデータベースに比べ、ほぼ2倍の15,600誌以上のジャーナルを収録している。日本のジャーナルもほぼ倍の400誌含まれているため、今まで計測対象とならなかった論文アウトプットの補足が可能である。
    2. 利便性・・・機関ごとにIDが付与されているため、より短時間での部門分類が可能である。通常の論文分析では、機関名の表記ゆれなどから、分析前のデータ整備に時間がかかっていた。
    3. 希少性・・・カスタムデータに基づく論文分析は世界的にみても事例が少なく、本調査で得られた知見は今後の分析でも有用な情報と考えられる。

これまで論文国際比較分析では一種類のデータベースに頼っていたため、得られた結果がデータベースの構造にどの程度依存するかが明らかでなかった。そこで同じ調査をScopusカスタムデータでも行うことで、両者の結果に大きな相違があるかを確認したかった。

最近欧州の政府機関や国際機関においてもScopusカスタムデータの導入の動きが進んでいる。Scopusカスタムデータは欧州の論文データも従来のデータベースに比べて多く含むため、今後、欧州において導入が進む可能性もある。欧州に加えて日本のジャーナルを多く含むこともScopusを採用した理由の一つである。

  1. NISTEPのレポートにおけるScopusの役割と利用方法

「日本と主要国のインプット・アウトプット比較分析」の目的は、国際比較性を向上させたインプット・アウトプットデータをもとに、日本、米国、英国、ドイツの論文生産性を分析することであった。Scopusカスタムデータは、アウトプットデータである論文数算出のためのデータソースとして利用した。調査対象期間を1996〜2006年とし、期間A(1996〜1998年)、期間B(2000〜2002年)、期間C(2004〜2006年)の3期間に区切り、3年平均のデータを整備した。研究者数などのインプットデータとの整合性を保つため、アウトプットデータを高等教育部門(大学等)、政府部門(政府研究機関)、産業部門(企業等)、民間非営利部門(非営利民営団体)の4部門に分類した。そのうち本報告では高等教育部門と政府部門について詳細な分析を行っている。

Scopusカスタムデータの主な利用方法:

    1. 高等教育部門および政府部門の論文数の各国比較・・・日本、米国、英国、ドイツにおける論文数の経年変化
    2. 高等教育部門および政府部門の分野別論文数の各国比較・・・日本、米国、英国、ドイツにおける分野別論文数の推移
    3. 高等教育部門および政府部門の論文生産性の各国比較・・・日本、米国、英国、ドイツにおける研究者や研究開発費あたりの論文数(全論文数、被引用数トップ10%論文数)の比較
  1. NISTEPが提供する、Scopusを使った報告書の利用者像

本分析は科学技術政策研究所が内閣府総合科学技術会議の付託により行ったものである。その結果は、総合科学技術会議や文部科学省において活用されることを想定している。また、カスタムデータによる論文分析は世界でも事例が少ないため、本調査で得られた結果は、今後、同様な分析を行う研究者にも役立つ情報と考える。

(2009年7月実施)